神戸大学1年目(1999年)

神戸大学2年目(2000年)

巻末コーナー

2、夜間オ−ルスタ−ズ!@

僕は授業に出た。ただ去年休学してしまったので、ほとんど僕は「新入生」みたいなもんである。だから2年生だけど、1年生の授業に出ることになった。僕は正直有り難かった。というのも同期のほとんどの2年生は、僕の不合格を知っており、あまり顔を会わしたくないからだ。しかしそれは間違っていた。

もちろん同期には変な奴がたくさんいたが、この共に授業を受ける「新入生」の方が、数段狂っていたからだ。今考えてみれば「よく揃ったな」というくらい、コンプレックスにまみれた人間達がそこにはいた。

まずは最初の授業、僕は「ヒルマ」「イガ」「IQ」という奴と知り合いになった。全員年は同じの1浪生だった。こいつらが別名「オ−ルスタ−」の代表だ。



「ヒルマ」という奴だが、彼は神戸大学「昼間」を受験して、不合格。そして名前を得るためだけに、この「夜間」に入学してきたらしい。会った時から、「僕は昼間を受験した。一応,私立関西学院(偏差値58)は合格した。」と自己紹介をかまし、僕は彼から「夜間にいるけど、本当はもっと出来るんだよ」という意識がビンビン感じられた。やはり卑屈に生きている奴はいない。

そして「イガ」という男だが、彼も立命館(偏差値57)には受かったが、名前だけ得るためにここに来たらしい。そして傑作だったのが、「自分は小学生の時に、学校の手違いで5年生を2回やってしまった。だからオレは年は君と同じだけど、現役でこの夜間にやってきた」というのだ。 彼は自分が「夜間」に1浪して入ってきたことをエラク気にして、怪しいウソをついて隠そうとしていた。ここにも「俺は本当は頭がイイんだ」というアピ−ルが出ていた。「どんな些細なことでも、自分はバカにされたくない」というプライドが、全面に感じられた。

ここまででも十分おかしいのだが、次のIQという奴が一番おかしかった。Mrコンプレックスと言っても過言ではないだろう。 「自分はIQ160」、彼はそう僕らに自己紹介した。IQ160と言えば、「天才」である。

IQは知能指数の略で、学力にはある程度比例すると言われている。普通の人間は100で、チンパンジ−は80という感じからすると、彼は間違いなく「天才」だ。本やインタ−ネットで調べてみたが、IQ160あれば、本一冊でも一回読めばほとんど暗記してしまう位らしい。まして受験勉強なんか取り組めば、楽々偏差値80ラインまでくるかもしれない。 しかし彼は受験をやった結果、「夜間」にいることはだけは間違いない事実だ。それに彼のその後の行動などを見ていても、どうにもそんな「天才」だとは思えない。

こういう妙な自慢も、「自分は頭がいいんだ」という表現の一つにしかなかったのだろう。「神戸大学夜間」では、どこに行っても「頭がいいね」とは評価されない。だけど卑屈になれないから、こういう風に自分で自分に「IQ160」というブランドを張り付け、「大学名ではなく、このIQ160で俺を評価してくれ。どうだ、頭がいいだろう」と言いたいのだと思う。 「俺は本当は頭がいいんだ」これを認めてほしい、この考えは僕と同じだ。

しかし「ここにいては認められない。頭がいいってほめられたいなら、イチイチ自分で自慢したくないなら、良い偏差値の大学に行かなければならない、それなりのブランドをつけなければならない」ということに、彼らは気付いていない。いや、気付いているけど行動に移してはいないのだ。これではやはり、今までの夜間生と同じだ。

そして入学した彼らの自慢のし合いを聞いた後、何となく「夜間脱出」めいた話になった。脱出と言えば、「編入」が一番現実的な手段かもしれない。だから彼らは「編入!編入!」と早くも燃えていた。

ところがその後、彼らはその「受験」よりも簡単な「編入」でさえも、手をつけられなくなる。1ヶ月もたてば、そういう話は一切聞かなくなった。 「イガ」は「この大学が好きになったから」と言うし、「ヒルマ」は「俺は勉強をやりにここに来たから、編入なんてくだらない」と返された。 「ヒルマ」や「イガ」はこの後、「受験!受験!」と活発に活動しだす僕に、最後まで「くだらない」とか「何やってんだ」「やめろ」と妨害してくる。そして僕のワルグチを周りに繰り返し、ちょっかいをだす。

1浪目にも言ったことだが、本当に「偏差値」や「夜間」に満足しているなら、僕が脱出しようとしても「無関心」のはずだ。 しかし彼らはそうはいかないのだ。コンプレックスの塊だった。

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