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10、大阪外国語大学編入試験、、11月
クラスではどっから出てきたのか知らないが、「日本で唯一、1年生が受けられる編入試験がある」という話が回ってきた。
普通、編入試験というのは、2年生が秋から冬に受けるものだ。そして3年生から合格した大学に移動する。 編入は大体どんな大学にもあって(東大はない)、実際の一般入学試験よりは、正直偏差値は5、6下がる。だから頑張れば確実に合格出来るのだ。
ところがここで「1年生の秋に受け、2年生から移動出来る試験がある」というのだ。つまり「1年生編入」である。その大学名は「大阪外国語大学」。東で言えば、東京外国語大学とほぼ同レベルであり、関西では名高い一流大学である。大体偏差値は、学科によって65から70。幸い1年生からやり直している僕にも、受験資格がある。
当日面接の試験官が話していた事だが、この1年編入は日本全国ここだけであり、その分人気が集まって、一般の試験よりやや難しいらしい。実際受験してみて、僕もそう感じた。そうなると偏差値70オ−バ−になる。極めて難関だ。もちろんクラスの夜間生は、誰も受けない。そんな勇気はない。
そして注目が僕に集まった。「斎藤は受けるのか?それとも逃げるのか?」当然受験する、僕には迷いなんて無かった。2月の一般受験の前に「夜間」を脱出が出来るのだ。もうこんなコンプレックスから抜け出せるのだ。チャンスは絶対逃したくはない。こうなるとIQ達は、黙って僕の不合格を祈るしかなくなった。ここまで来ても、相変わらず行動は起こさないらしい。
受験学科はどこにするか? 僕は国語を極めていたので、日本語に興味があった。どうせ勉強するんだったら、日本語学科かなとまで思った。しかしそんな事関係ない。偏差値が一番高く、胸を張ってエバれる「英語学科」しかない!ヤリたいことなどクソくらえだ!
幸い高校時代、バイトして貯めた少しの貯金が残っていた。これを全部、受験料3万円に注ぎ込み、「絶対合格」に向けて走り出した。偏差値的には試験科目英語も偏差値80近くあり、何の問題もない。大阪外国語大学だったら、100やって10返ってくるラインに十分入る。「今度こそいける!」去年より確実な手応えが僕にはあった。
11月25日。大阪外国語大学1年編入試験日。その日が運命の開戦日となる。 ほぼ時を同じくして、シンジさんの戦いにも幕が切って落とされる。こちらの舞台は2年生編入だ。彼は万全を期して、京都大学、大阪大学、東北大学、神戸大学の受験を決めていた。2年間の怨念がこもる、編入ランキング2位の彼だ。ここまで受験すれば必ず受かるだろう。必勝体勢だ。もう僕らは夜間には帰れないのだ。
僕達に去年の事が、ふと頭によぎる。この受験はともに受かるしかない、という事だ。どちらかの脱出では勝利ではない。二人そろって合格しなければならない。僕達は無言にも、その事は分かっていた。
今年、彼とはうわべの「友情」を超えた、固いキズナで結ばれた。ともに戦う同志だ。周りは全員敵だった。辛いときはお互い励まし合った。カズヤに次ぐ、僕にとって2人目の戦友なのだ。今度こそ、二人とも勝利しなければならない。ここからが本当の勝負なのだ。
ついに「脱出」と「ブランド」をかけた僕達の長年に渡る戦いが、終幕に向けて最後の加速を始めた。
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