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20、大団円!
「受かりましたよ!受かりました!片っ端から合格しました!」 僕の歓声が響いている。もう誰にも文句は言わせない。完全合格だった。受話器の向こう側のシンジさんは、感激して泣いてくれた。「やりましたね!絶対斎藤サンなら受かると思ってました!」、もう会話にさえならない。
彼は僕と同じだった。ブランドを得るために、また合格証明書をもらうためだけに、10万円もの旅費をかけて「筑波大学」を2月に受験していた。入学するつもりなんて毛頭無いんだから、全くの無駄である。もう意地であった。
その筑波にも合格していたシンジさんには、二重の喜びである。彼は僕と電話しながら、もう一台の携帯電話でカズヤにつないだ。電話の向こうでは、僕と話しながらも彼はカズヤに興奮気味に僕達の勝利を伝えている。
「斎藤サンに代わります!」彼は電話を二つ逆さにくっつけて、僕の声をカズヤに送ろうとした。
「聞こえますか−!斎藤です!受かったぜ−!」
もう喜びから、自分が何を言っているのかも分からない。ただ1年ぶりに、彼に「勝利」を伝えたかった。彼の上京の日から、会うことはもちろん、一度も話したことさえ無かった。
1年前、必ず合格して、彼の前に再び「対等な友」として現れることを誓った。それが今日だったのだ。電話同志をくっつけたので、電波が混線し雑音がひどかった。それでも彼の祝福する声が聞こえてくる。そう、あの懐かしい声だった。
「おめでとう、本当におめでとう」
「ぎゃははは、聞こえないよ、声が!雑音がひどすぎる!何っ、何−?」
僕は何回も何回も聞き返していた。シンジさんも入り混じって、3人は雑音が飛び交う中、大声で叫び合う。笑い声はいつまでも途切れることはない。
僕達が出会ってから2年経った。その3人の戦いは、「勝利」という最高の形で幕を下ろす。ついに3人は、3人とも同じラインに並んだのだ。しかし多くの時がたった。思えば長すぎるドラマであった。
そして僕達は勝った。だが何度も言う。それは「受験」にではない。その先にある「自分自身」に勝利したのだ。 歓喜のラストシ−ン、まさに「大団円」であった。
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