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21、日本頂上決戦!・・東大後期、、3月
4つの合格という武器は、僕に強固な自信を付けた。これまでの実績、成績は「プレッシャ−」から、僕を後押しする「パワ−」へと変わっていた。「呪縛」から解かれた今、恐いものなどこにもない。
サ−クル中に合格メ−ルを送ると、彼らさえもう余裕が無くなった。「おめでとう」、この一言が神戸の地から一切届かない。しかし僕はそれを腹立たしいとは思わなかった。むしろ「沈黙」こそが、最高の誉め言葉である事を分かっているからだ。
後は天下を取るだけだった。
3月13日、東大2次試験当日。偏差値80の僕の第一志望校だ。「今ならいける」、あの言葉が確信を持って迫ってきた。
試験会場の東大に着く。「とうとうここまで来たか・・・」、僕は込み上げるものを感じていた。教室に入ると、そこには今までとは違う、異様な緊張感が張りめぐらされている。当然だ。「センタ−8割後半」を一次試験合格ラインとしているため、「記念受験」「勘違い野郎」はもはやここにはいないのである。受験者全員が最高レベルを誇るツワモノ達だ。
試験科目は英語と日本語の論文。試験時間はそれぞれ2時間半で、合計5時間もある「最強」の試験だ。そのレベルはもう受験生の手に負えるものではない。ここまで来ると、「運」など通じない。日本の頂点にふさわしい「最強の勇者」のみが、合格できる正義の場である。
試験が始まると、僕は悠然と立ち向かった。「今なら何でも出来るんだ、誰にも負けることなんてありえないんだ」 もうそこには、あの惨めな僕の姿はない。誰の目にも映るものは、自信に満ちあふれる「勝者」の輝きであった。 英語ではもう「読めない」なんて問題は存在しない。4ペ−シ弱の「最高レベル」の英文を、わずか30分程度で読破。何回も何回も、書き直しがで出来るほど完璧に答案を作った。予定通りである。
2時間目の「日本語」に突入する。 例年の試験パタ−ンは、難解な哲学書から膨大な文章が出典され、それを踏まえての2400字論述。テ−マは「人間とは何か」であった。僕が東大でも、文学部を受験した最大の理由は、このテ−マゆえだった。 思えばこの2年を超える年月、僕は「自分」、そして「人間とは一体何なのか」についてずっと考え続けた。「人間」、これは僕の人生のテ−マでもあったのだ。
その年、試験傾向が大きく変わった。テ−マ「人間」は動かないものの、出題に使われたのは「文章」ではなく、たった3枚の「写真」だった。僕はそれを見た瞬間、思わず吹き出した。笑うしかない、もう何でもありの、次元を超えた難しさだったのである。
2時間半、僕はその3枚の写真を使って、この戦いのの思い全てを、2400字に叩き付けた。本音を全てさらけ出せ!「本当の自分」って、「人間の真の姿」って何なんだ?醜さと向き合え、直視しろ、そこから全てが始まるんだ!それが「人間」なんだ!
答案は出来上がった。悔いはない。僕は静かにペンを置いた。その瞬間、32カ月ほぼ毎日受験勉強という悪夢から、僕はついに解放された。
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